Forest Baubiologie Studio,森林・環境建築研究所

 
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03 森林共生住宅への手引き
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概日リズムを壊さない、よく眠れる家

概日リズムを取り戻す

太陽は生命のリズムを司っています。地球上のほぼすべての生物には、24時間11分の周期で変動する体内時計が存在します。これを概日リズム(サーカディアン・リズム)といいます。睡眠や覚醒のメカニズムが、この概日リズムと深く関わっていることはよく知られているところですが、血圧と体温の調整やホルモンの分泌などの生理現象も概日リズムに沿って営まれています。そのため、概日リズムの異常は、睡眠障害をはじめ、がんや生活習慣病、精神疾患などにも関わるとされ、時計遺伝子の解析とともに、近年研究が進んできた分野です。

コンビニエンスストアや深夜のテレビ番組など、昼と夜の区別なく24時間均質化され「便利な」生活環境に置かれた私達は、知らずとも概日リズムを乱しがちです。私達は、太陽の位置に注意を向けることで、体内リズムを正常に近づけ、健康の質を向上させる可能性があるのです。

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さて、屋内で多くの時間を過ごす現代の私達は、日々の生活の中で太陽の位置を意識することはあまりないでしょう。ですから、これまでの住宅の光環境といえば南側採光のみに重点が置かれ、概日リズムを考えた設計がされてきませんでした。これからの都市生活者にとって重要なのは、夜明けと日没の光環境を生活のリズムに取り入れることであると考えています。「森林共生住宅」では、それぞれの立地条件を可能な限り生かし、夜明けや日没の光環境を取り入れることができる室内環境の実現に取り組んでいます。

本当のソーラーハウジングへ

ソーラーハウスというと一般的には太陽熱利用した給湯システムや太陽光発電屋根などのエネルギーコンシャスな家を指します。

地球に暮らす生物にとって、太陽は巨大なエネルギーソースです。毎日降り注ぐ光や熱は、有用なエネルギーをもたらす一方で、あらゆる場所で温度の変化やそれに伴う気圧や湿度の変化を生み出し、住環境には望ましくない環境を与えてもいます。住環境に多大な影響を与える太陽の存在を受け取って、どのように取り込むか、拡散させるか集中させるか、あるいは隠してしまうかについては、世界中の建築家が取り組む複雑なテーマであり、ソーラーハウジングの難しさと魅力もここにあると言えるでしょう。

太陽と向き合うことは、単に太陽エネルギーを熱や電気に置き換えることではありません。真に機能的な住宅とは、環境条件とアクティブに向き合うのではなく、パッシブに地球環境を受け取り、自然の原理を設計する住宅であると私たちは考えています。森林環境建築研究所では、私たちの体内リズムが太陽の動きに呼応している点に立ち返り、より自然な環境で太陽と共生する住宅の姿を探っています。

太陽は地球上の生物にとって唯一無二の存在であり、根源的な役割を担っています。私たちは、エネルギーと概日リズムの双方を自然に受け取ることのできる住宅、それが本当のソーラーハウジングの在り方だと考えています。

 
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